【IT導入補助金】採択のための「経営診断ツール」利用法・審査ポイント

平成29年度IT導入補助金の大きく変わった点として、応募前に事前に「経営診断ツール」を受ける必要があり、これが通常の補助金で言う「事業計画書」の代替となっています。
ところがこの「経営診断ツール」なのですが、本当に「診断」となりえるかどうか…手順を追ってみてゆきます。

1) 経営診断ツールでわかること・必要な情報

経営診断ツールでは下記の2つの観点で経営を診断します。

1) 同規模・同業種における市場平均との比較
基本情報として「従業員数や業種」及び「最新決算期を含めた2期分の決算に関する情報」を入力し、市場平均との比較を行う。

2) 経営課題等の把握、将来的な事業計画の考察
①経営者、②事業、③企業を取り巻く環境・関係者、④内部管理体制、⑤総括、
など5分類の質問に回答し、自社経営の振り返りをするとともに、今後の取組・改善に向けたアクションを検討するための分析を行う。

(出典:IT導入補助金ホームページ)

2期分の決算書の下記の情報が必要です。
(創業直後など、2期分ない場合はITツールを導入しないままだとどういう推移になるかの予測値で良いようです)

出典:IT導入補助金ホームページ

2) 経営診断ツールへの入力

1. 自社の基本情報を入力

まずは会社名や業種を入力します(日本産業分類のコードは検索できます。e-statがリニューアルしてて少し使いやすくなりました)。

出典:IT導入補助金ホームページ

2. 財務情報を入力

決算書上の数字と、労働生産性の数値の分母となる従業員数・年間の1人あたり平均労働時間を入力します。

出典:IT導入補助金ホームページ

3. 自社経営に関する定性的な情報を入力

① 経営者について

出典:IT導入補助金ホームページ

自社の経営理念の策定状況や後継者についてなど、選択式で入力します。

② 事業について

出典:IT導入補助金ホームページ

内部環境である自社の強み・弱みやIT投資状況を基本選択式で入力します。

③ 企業を取り巻く環境・関係者

出典:IT導入補助金ホームページ

いわゆる外部頑強や従業員・支援機関との関係を選択式で入力します。

④ 内部管理体制

出典:IT導入補助金ホームページ

組織体制についてや、事業計画の有無を選択式で入力します。

⑤ 総括

出典:IT導入補助金ホームページ

取り組むべき課題・将来目標・取り組むべき改善点・対応策(IT化での解決指針)を基本選択式で入力します。

これで終了。
診断結果が出てきて、画面最下部の「保存(PDF出力)」ボタンを押せば診断結果のPDFを保存できます。

出典:IT導入補助金ホームページ

1枚目には財務指標と、経済産業省のローカルベンチマークと連動した、帝国データバンク情報100,000万社の中の同業種・同規模の企業と比較した判定が出てきます。
また右上の「診断結果ID」が応募時(交付申請時)に必要となり、入力することでこの入力データが呼び出されます。

2枚目には同じく先ほど入力した定性的情報の診断結果が、同じくローカルベンチマークのフォーマットで出てくるのですが…

出典:IT導入補助金ホームページ

選んだ選択肢の内容が埋まっているだけ
もちろん、支援機関や専門家との対話の切り口になるかとは思いますが、診断した事業者さんはなんのことやら???になってしまうと思われます。
とても従前の「事業計画書」の代替になり得ない代物なのですが、ここに罠があると考えています。

実はIT導入補助金の公募要領の審査項目には下記のように記載されています。

出典:IT導入補助金ホームページ

従来の補助金より相当大雑把になっております…その中でも、

事業面からの審査項目
(1)事業面の具体的な審査
・経営診断ツールの各項目において、自社の経営課題を理解し、経営改善に向けた具体的な問題意識を持っているか
・また、それを解決する方向性を意識し、取り組もうとしているか
自社の状況や課題、将来の計画に対して、「ITツールの利活用」という解決策がマッチしているか

出典:IT導入補助金 公募要領

つまり採択に当たっては「自社の状況・課題・将来目標をどれだけ具体的に認識していて、そのためにどんなITツールをどのように活用するか」をアピールできれば、ほぼ決まりでないかと思われます。

では「具体性」をどこでアピールするか。 実は選択式以外にフリー文章が入力できるのは下記の5箇所しかありません。
「② 事業」の
「強み」(選択肢)

独自性・独創性/営業力/商圏・立地/製品サービスの質/商品・サービスの情報発信カ/顧客情報の収集・管理/人材力/技術力/充実した設備/ビジネスモデル特許などの知財社内チームワーク協力会社等との外部連携力/伝統や長い社歴/新製品や新サービスなどの開発力

「弱み」(選択肢)

競合他社との差別化が図れていない/人材不足/商圏・立地/製品サービスの質/商品・サービスの情報発信不足/顧客情報の不足/在庫管理・工程管理等、業務管理がうまく把握できていない/社員の高齢化や退職/人が育たない/設備の陳腐化/運転資金/不足設備/投資資金不足

「⑤ 総括」の
「取り組むべき課題」(選択肢)

会社・商品・サービスの認知度向上/顧客•取引先の利便性向上/業務処理の正確性向上/業務分析の高度化・精度向上/業務プロセスの簡素化・標準化・代替/営業情報の可視化(見える化)と共有/ノウハウ蓄積と共有/事業の問題点を明確化して、目標の共有

「将来目標」(選択肢)

雇用の確保•安定化/増収・増益/新店舗出店(EC含む)/事業拡大/海外進出

「取り組むべき改善点」(選択肢)

広報の強化/快適な売り場つくり/新規市場開拓・新規顧客獲得/新サービス・新メニューの開発・導入/顧客満足度・利便性の向上/製品・サービスの質の向上/ノウハウ蓄積と共有ための機会や場の導入/人材確保・育成/リスクの洗い出しと経営計画の作成各/業務の効率化と経費の削減/専門家による経営指導の活用/経営状況の正確な把握

ここでいかに選択した項目を具体的に認識しているかを記載できるかが差になるため、自社の状況に鑑みて記載しましょう。入力したフリー文章は出力フォーマットの各項目の選択した選択肢の下に記載されます。
ただし全てのフリー項目は255文字までしか入力できません。そのため長すぎず、短すぎず…

ちなみに経営診断ツールは途中で保存できないので、入力する前にあらかじめ考えておいたほうが良さそうです。
(応募(交付申請時)に修正することは可能です)

逆を返して言うと、上記の審査項目には計数的な経営状況のことがちっとも触れられていないのは…あっ!(お察しください。財務状況などはIT導入事業者が担保していると考えているのでしょうか…???)

とここまで書き連ねましたが、今回の平成29年度補正予算のiT導入補助金では予算は5倍、補助率は半分と採択事業者数の大幅増加が見込まれますので、ここに書いたことは全くの取り越し苦労になるかもしれませんが、確実に採択を狙う方は押さえるべきでしょう。
事実ここまでやれば国が中小企業・小規模事業者に作らせたい「経営計画」作成の最初の一歩、一端になるかもしれません。

もう一つの「計画目標値の審査(交付申請(応募)時に記載します)」と「加点項目」についてもご確認ください。

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